「アンサンブル・ミカニエ 創立10周年に寄せて」

 日本語とフランス語の造語で「みかんの木」という意味を持つ混声合唱団が、活動を始めてから10年という大きな節目の年を迎えました。複数の人間の声を重ね合わせ、音楽表現を模索する合唱という活動は、それはもちろんとても大変楽しいものですが、同じことを好きなもの同士が集まるがゆえの大変さも、時には感じることもあったかもしれません。しかしそれが10年続いたということは、日々の活動の繰り返しを通じ、メンバーが同じ時代を共に生きる喜びを味わう、幸福な段階に到達されたことの証であり、そのことは人間のみが成しえる美しい成果だと感じます。本当におめでとうございます!

 アンサンブル・ミカニエの皆様の演奏を聴いていると、その音楽に対する真摯な姿勢に裏打ちされた、美しく、洗練されたアンサンブルに感銘を受けます。それはご自身のプロフィール欄にも書いてあるとおり「見た目の割に繊細な指揮」をされる常任指揮者の阪本健悟先生の情熱的で音楽的なご指導、そしてそれに燃えるようなハートで応えるメンバーお一人お一人の熱い心意気の賜物と思います。これからさらにその素晴らしいサウンドを展開して、ますますご活躍されることを祈念しております。

 私の作曲したミサ曲第1番「日本から」をコンクールや定期演奏会でいち早く取り上げてくださり、素晴らしい演奏をしてくださいましたこともあり、個人的なご縁も強く感じております。どうかこれからもよろしくお願いします。感謝と尊敬をこめて。

 

合唱指揮者/作曲家 名島 啓太